なぜ捕まるのか

鍵アカなら大丈夫?

この問題の中心になるのは、名誉毀損罪(刑法230条)と侮辱罪(刑法231条)です。

名誉毀損罪は、公然と事実を示し、人の社会的評価を下げた時に成立します。ここでいう「公然」とは、不特定または多数の人が知り得る状態のことです。

つまりSNSは、その典型と言えます。

よくある誤解が、「フォロワーが少ないから大丈夫」「鍵アカだから大丈夫」という考えです。しかし、法律が見ているのはフォロワー数ではありません。その情報が第三者へ伝わる可能性があるかどうかです。たとえ鍵付きアカウントであっても、スクリーンショットで共有されたり、他の人へ転送されたりすれば、公然性が認められる可能性があります。

次に重要なのが、特定可能性です。実名がなくても、部署名、役職、業務内容、特徴的な失敗談などが書かれていて、周囲の人が「誰のことかわかる」状態であれば、法律上は個人が特定されたと判断されることがあります。

ここでさらに多く誤解されていることがあります。それは、「本当のことを書いただけ」という考えです。しかし名誉毀損罪は、内容が真実であっても成立する可能性があります。

法律が守ろうとしているのは、事実かどうかではなく、その人の社会的評価です。もちろん、公共性や公益性が認められる場合には例外もあります。しかし、職場の部下をネタにした投稿や、個人をからかう目的の投稿が、それに当てはまることはほとんどありません。

また、「みんなそう思っていた」「社内では有名な話だった」という言い分も通用しません。みんなが知っていることと、公然と発信してよいことは別問題です。

事実を並べて笑いを取る。能力を低く評価する。人格をからかう。こうした行為は、社会的評価を下げるものとして判断される可能性があります。

一方で、「無能」「バカ」など、具体的な事実を示さなくても、抽象的な悪口で人を攻撃すれば侮辱罪が成立する可能性があります。

さらに、上司と部下など立場の差がある場合には、被害の深刻性や悪質性がより重く評価されることがあります。

また、それが一度ではなく繰り返されていれば、単なる失言ではなく、継続的な攻撃と見られることもあります。

つまり、

1 不特定多数が見られる場所に
2 特定できる形で
3 社会的評価を下げる内容を投稿した

この三つがそろった時点で、刑事上のリスクは高くなります。

SNS は内輪の雑談の延長のように感じることがあります。しかし法律上は、公開された空間です。その感覚のズレが、名誉毀損や侮辱罪につながるのです。