会社としてできること
会社が本当に守らないといけないもの
会社がまず理解すべきなのは、SNS は社員個人の問題ではなく、企業リスクの一部だということです。
社員が会社名を書いていなくても、部署名、仕事内容、社内の出来事などがネガティブな内容で投稿されれば、企業イメージと結び付くことがあります。
次に重要なのは、SNSガイドラインを具体的にすることです。「誹謗中傷をしない」だけでは不十分です。
・社内の人を投稿のネタにしない
・特定可能な情報を書かない
・評価を下げる表現をしない
・削除しても責任は消えない
ここまで具体的に示す必要があります。
また、管理職への教育も重要です。上司の発信は、単なる個人の投稿ではありません。部下との立場の差がある以上、本人は冗談のつもりでも、受け手には圧力として伝わることがあります。
そしてもう一つ大切なのが、相談できる環境を作ることです。被害を受けた社員が、「嫌だ」「やめてほしい」と言える職場であれば、多くの問題は大きくなる前に止められます。
SNSのいじり投稿は、単なる投稿トラブルではありません。その会社が、人をどう扱う組織なのかを映し出します。だから、会社が守るべきなのは体裁ではなく、人です。
社員が安心して声を上げられる環境こそが、最大の防犯になるのです。
※本稿は、『これだけで、逮捕 「知らなかった」では済まされない29の落とし穴』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
普通の人が落ちる、29の落とし穴
逮捕された人の多くは、最初から法律を破ろうとしていたわけではありません。
本書では、実際の事件や判例をもとに、「知らなかった」では済まされない29の落とし穴を、元刑事がわかりやすく解説します。
出典=『これだけで、逮捕 「知らなかった」では済まされない29の落とし穴』(著:森雅人、監修:足立直矢/PHP研究所)
森雅人
元千葉県警刑事
サイバー犯罪、経済犯罪等を扱う生活安全部門の刑事を約15年担当。特にサイバー分野での警察では解決できないトラブルの多さや法整備の遅れに疑問を感じ、実践的な企業のリスク対策を行う民間企業に転職。同社にて、サイバー犯罪捜査の知見を活かしたリスク対策事業を開発するなど、企業向け危機管理のプロフェッショナルとして活躍。また、犯罪・防犯の専門家として、N H K「ニュースウオッチ9」「クローズアップ現代」、日本テレビ「スッキリ」「ZIP」、テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」「スーパーJチャンネル」など多数のテレビ番組に出演、雑誌、新聞等でも取り上げられている。2024年、刑事事象解析研究所(ケイジケン)を設立。「進化する犯罪…その先へ。」をコンセプトに、最新犯罪を解析し、より実践的な防犯対策に関する研究・情報発信活動を行っている。
足立直矢
弁護士、一般社団法人刑事事象解析研究所アドバイザー
鳥取県出身、大阪大学法学部を卒業後に司法試験に合格。大学時代から刑事事件、更生支援に関心を持ち、弁護士登録後は、全国的に刑事事件を取り扱う弁護士事務所に入所する。以来、万引きや喧嘩事案のような日常的な犯罪から、裁判員裁判の対象となる重大な事案や独占禁止法違反、不正競争防止法違反のような経済事案、薬物事案、特殊詐欺まで幅広い事案を担当してきた。否認事件、冤罪事件については当然のこととして、罪を認めている人の情状弁護にも力を入れている。特に、再犯を繰り返してしまう人の弁護、少年事件のように、依頼者の「人生のやり直し」となるような事件には全身全霊をもって眼の前の依頼者、その家族と向き合ってきた。本人の将来にとって何が最善かを突き詰めて考え、本人のためであれば厳しい言葉を投げ掛けることもあるが、決して事件や依頼者を見捨てることはない。弁護士として依頼者の利益保護を求める傍ら、加害者側の立場を見てきたからこそ得られる視点で、当協会の活動を支援している。弁護士と警察も常に対立するわけでなく、互いに共感し社会正義のために協力し合えると確信している。家庭では2児の父だが、本業に専念するあまり子供との時間が少ない事が最近の悩み。その分、休日はもっぱら家族と過ごすことが多い。