まさかの戦力外通告

でも、番組にディレクターは彼と私の2人しかいないのです。なのに私に来なくていいと言うからには、おそらく「あんたのことはハナから戦力外と思ってるから邪魔しないで欲しい」と暗に私に通告しているようなものです。なるほど、サポートに入れというのはあくまでも上司の配慮であって、彼本人が望んだ人事ではなかったわけです。

まぁ、たしかに私は彼より年齢が6つも上で、私自身も制作部に配属されて半年経ったばかりの頃で、私の人となりもよく分からなかったでしょうから「やりにくいなぁ」と彼なりに思ったのでしょう。だから、私の影響で番組が被る損害を軽微にするために、私を留守番にしてロケ現場に来させないようにしたかったのでしょう。ですが私は、「いやいや、オレも行くよ」と真っ向からゴネたわけです。

『だから僕らは出会わなければならないのです。』(著:嬉野雅道/発行:集英社インターナショナル、発売:集英社)

すると私がゴネるのは予想外だったのか、彼は少し焦った様子で「いや、あんたの分までレコード会社は金を出せないんだよ」と、みみっちいことを言いわけにする。「いやいや、番組の制作費から出せばいいじゃない。新番組の最初のロケにオレ一人留守番なんて。ないない、それはないわ」。

すると言葉に窮した彼は、「あなたも来るんならカメラくらい回してもらうよ?やれるの?」と今度は脅してくる。「あ、カメラ?やれるやれる。オレ得意だよ」と、私が自信たっぷりに切り返すから、さすがにそれ以上私を排除する理由も思いつかなかったのでしょう、「じゃあ、カメラは任せたからね」と、ようやく新番組はタレント2人、ディレクター2人の4人でロケに出るという形に落ち着いたわけです。