カエル探し

20年と少し前、番組のロケで我々は西表島に行きました。本当はスペインまでロケに行って、大泉洋を「牛追い祭り」に飛び入り参加させるつもりだったのです。ところが事前にロケハンに行ってみると思いのほか危険がいっぱいだったのでそれはやめ。

大泉洋と視聴者には「牛追い」ではなく「虫追い」です、とダジャレで企画変更を告げて西表島に乗り込んだのですが、現地に到着するとネイチャーガイドのロビンソンと名乗る日本人のおじさんが「虫はおもしろくねぇ」と開口一番に言うものだから、結局、「虫追い」でもなくなってしまう。タレントは「じゃあ何をやるんだ」と頭を抱える。

『だから僕らは出会わなければならないのです。』(著:嬉野雅道/発行:集英社インターナショナル、発売:集英社)

するとロビンソンは「オオウナギを獲ってビックリさせてやるからさぁ」と豪語し、夜更けに「とりあえずエサにするカエルを取りに行く」というので、カメラを回し始めるとその晩に限ってカエルがいない。なにしろオオウナギのエサだから、カエルがいないと始まらない。それで島中を車で走って探すんだけどカエルがいない。でも藤村くんは、このまさかの事態にガイドがテンパって真夜中過ぎても血眼でカエルを探し続ける様がおもしろくなっちゃって、一向にカエル探しをやめようとしない。主催者が「もうやめましょうか」と助け舟を出さないから、ロビンソンもガイドのプライドが邪魔をしてカエル探しをやめられない。

タレントも見るに見かねて、「カエルなんか、もういいだろう?」と先の見えないカエル探しに付き合わされてヘトヘトだから藤村くんに苦情を言うんだけど、そうなると藤村くんはそれもおもしろくなるから、「ロビンソンがやめないから仕方ないねぇ」と一向にやめない。だから夜中過ぎまでカエル探しが続けられ、全員がヘロヘロになるのだけれど、全体を通してロケを見返すと、「どうでもいい」はずのカエル探しが一番おもしろく、番組の山場になっているわけです。