冬が長く、夏の休暇を待ちわびる

山口:スウェーデン人の日常生活と休暇について教えて。

長谷川:スウェーデンの冬は、とても長くて暗いです。11月になると、朝は10 時近くまで日が出ず、午後4時前には暗くなってしまいます。曇りの日が多く、「太陽を見たのはいつだったかな」と嘆く声がよく聞かれます。

『認知症でも私のことは私が決める-日本の不自由とスウェーデンの自由』(著:宮本礼子、長谷川佑子、山口晴保/中央公論新社)

山口:えっ、午後4時? それじゃあ、仕事が終わる頃には真っ暗だ。

長谷川:そうなんです。雪が降れば景色は白銀で美しく、みんな「冬が好き」と言います。そうは言っても、明るく輝く夏の太陽を待ちわびます。

宮本:その「夏を楽しむ」ことへの熱意が、日本人とは全然違うんでしょうね。

長谷川:ええ、それはもう。年明けから夏休みのことを話していますよ。スウェーデンでは1963年から、夏に4週間の連続休暇をとる権利が法律で認められています。人によっては、育児休業をくっつけて、5〜6週間休むんです。旅行や庭仕事を、準備の段階からワクワクして楽しみます。この「喜び」が、生きる糧になっているのでしょうね。

人々は短い夏を待ちわびる。右奥にサマーハウス(写真:『認知症でも私のことは私が決める-日本の不自由とスウェーデンの自由』より)

山口:5〜6週間! 羨ましいなぁ。現役世代がそれだけ休むのは、日本では考えられないよね。

長谷川:スウェーデン人は「休暇なしに働くなんてありえない」と言いますよ。子どもたちも約8週間の長い夏休みがありますが、宿題が一切ありません。自分の好きなことにたっぷり時間を使います。多くのスウェーデン人は、何年もかけて造ったサマーハウスを森や湖畔に持っていて、その修繕も楽しみながら、家族や友人と夏の休暇を過ごします。そして、それは介護施設で暮らす高齢者にとっても全く同じなんです。