現在も変わらない傾向
高専は設置時に各地で地域振興を目的とした誘致運動が起き、現在に至るまで地域への技術者人材の供給が期待されている。だが、実際のところは、高専が地元に技術者を安定的かつ潤沢に供給しているとは言い難い。
高専卒業生には初期の段階から大企業が大量の求人を出し、その傾向は基本的に現在でも変わらないため、産業の集積が薄い地域では、かえって地元の優秀な人材を他地域の大企業へと送り出すことになっている(「二つの発見に向けて」)。
1960年代初頭にあった日本各地の自治体の思惑は、当てが外れてしまったのだった。
※本稿は、『高専―戦後日本のエンジニア養成』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『高専―戦後日本のエンジニア養成』(著:手嶋泰伸/中央公論新社)
高等専門学校(高専)は、5年制の高等教育機関である。実験・実習を重視し、技術者の養成を目的とする。
1962年に誕生して以来、現在は50校以上を数え、卒業生は製造業、建設業からIT産業まで広く活躍している。ユニークな教育システムはモンゴルやタイ、ベトナムで導入されるなど、世界的に注目されている。
本書では文部省や産業界、大学、短期大学、地方自治体が絡む高専の歴史を辿り、その実態と課題を掴む。




