批判が噴出

自治省は高専設置時の地方自治体の負担が大きすぎることは問題視しつつも、各都道府県は地域人材の育成のために高専に期待をしており、医学高専構想はその延長線上にある。

県立の医科大学に多額の運営費をつぎ込んでも、地元への定着が図れないことへの不満も、地方自治関係者には非常に強かった。

『高専―戦後日本のエンジニア養成』(著:手嶋泰伸/中央公論新社)

だが、医学高専構想に対しては、批判が噴出する。戦前の教育制度では、大学医学部のほかに旧制の医学専門学校(医専)があった。しかし、旧制中学卒業後の高等予備教育を経ない学生への速成教育では不十分ということで、戦前の段階で既に官立・公立の医専はすべて医科大学に昇格していた。

学齢と修学年数は異なるものの、医学高専構想は明治から大正期の制度への逆戻りにも映るものだった。