歩く、立つ、座る……股関節は毎日の動作を支えている

平井:股関節は、普段の生活ではどんな役割をしているのでしょうか。

高平:実は、朝起きてから夜眠るまで、ほとんど休む間もなく働いています。立つときには上半身の重さを脚へ伝えて身体を支え、歩くときには脚を前後に動かします。椅子から立ち上がる、階段を上る、靴や靴下を履く、床の物を拾う、方向を変える。こうした日常動作の多くに股関節が関わっています。単に「脚を動かす関節」ではなく、身体を支えながら動かす中心的な関節なのです。

平井:動かすことと、身体を支えることを同時にしているんですね。

高平:そこが股関節の大きな特徴です。肩も大きく動く関節ですが、通常、肩で体重を支えることはありません。一方の股関節は、かなり広い範囲に動きながら、立つ・歩くときには体重を受け止めなければなりません。つまり、「よく動くこと」と「安定して支えること」という、一見すると反対に見える二つの役割を両立させています。身体の中でも非常に働き者の関節と言えるでしょう。

平井:ゴルフやテニス、ダンスなど、スポーツを楽しんでいる方からは、「以前より身体をひねりにくい」「一歩目が出にくくなった」といった声も聞かれます。スポーツの動きにも股関節は関係しますか。

高平:もちろんです。ゴルフのスイング、テニスの切り返し、ダンスのステップなど、身体の向きを変えたり体重を左右に移したりする動きには、股関節が深く関わります。ただし、股関節だけが単独で働いているわけではありません。足部、膝関節、骨盤、脊椎(せきつい。背骨)などが連携して動く中で、股関節はその中心にあります。日常生活でもスポーツでも、下半身と体幹の動きをつなぐ重要な関節だと考えると分かりやすいでしょう。