「年齢のせい」にせず、以前との違いに目を向ける
平井:50代以降になると、「昔より脚が開きにくい」「長く歩くと疲れる」「床から立ち上がるのが億劫になった」と感じる方も増えてきます。こうした変化は、股関節そのものが年齢とともに悪くなっているということなのでしょうか。
高平:必ずしもそうとは限りません。「年齢だから」と一括りにしてしまうのは少し早いと思います。年齢とともに筋力や柔軟性、活動量が変化することはありますが、身体の使い方は生活習慣にも大きく左右されます。座っている時間が長くなった、歩く機会が減った、外出が減った、痛みが心配で動く量を少なくした。こうした変化が重なると、股関節そのものに大きな異常がなくても、動く範囲が狭く感じたり、周囲の筋肉を使いにくく感じたりすることがあります。
平井:「動く機会が減ることで、さらに動きにくく感じる」ということもあるわけですね。
高平:あります。人の身体は、使っている機能は保ちやすく、使わない機能は徐々に使いにくくなる傾向があります。ただし、ここで誤解してほしくないのは、「痛くても無理に動かした方がよい」という話ではないことです。大切なのは、痛みを我慢して頑張ることではなく、以前と比べて何が変わってきたかに気づくことです。歩き始めに脚の付け根が気になる、左右で靴下の履きやすさが違う、片側の脚にばかり体重をかけてしまう。こうした小さな変化は、自分の身体を見直すきっかけになります。