『華麗ナ男爵夫人』のときは、美輪さんは演出もなさっていたので、稽古場で私が美輪さんの代役をつとめることに。美輪さんの衣装を着たのですが、きつくて身動きができません。
美輪さんから「ソファに座りなさい」と指示されたけれど、「きつくて座れないんです」と言ったら、みんな大爆笑――。
そういった弟子のような関係でわりと信用していただき、美輪さんの家で留守番もして、その間お勧めされた映画のビデオを観ていました。私はビデオデッキなんて持っていなかったし、『天井桟敷の人々』『ミモザ館』などの古いフランス映画が、どれほど栄養になったか。
仕事で地方に行かれるときも留守番を頼まれ、「私のベッドで寝ていいわよ」と言われましたが、薄紫のきれいなカバーがかかったベッドでは緊張して眠れませんでした。(笑)
美輪明宏さんの本
小誌では、美輪さんに、数々のインタビューや対談企画にご登場いただいたほか、華やかに表紙を飾っていただきました。被爆や差別などの辛苦を経験しながらも、つねに人の悲しみや苦しみに寄り添い、前向きな言葉で励ましてくださいました。
最期まで美意識を貫き、愛と平和の大切さを説いてくださった美輪さんの、厳しくも愛にあふれる言葉が詰まった単行本をご紹介します。連載エッセイ(第60回まで継続予定)もあわせてお読みください。
『あなたの人生を導く 美輪ことば』1760円
「微笑みは開運の鍵」「思いやり」「感謝は自分にも」「地獄、極楽は胸三寸にあり」「ごきげんよう」……。美輪さん自身がずっと大切にしてきた「言葉」と「自筆の書」が満載。勇気と希望を与えてくれる人生指南。本誌の連載をまとめた貴重なエッセイをお手元に
『幸せの大盤振る舞い』1980円
「波瀾万丈の人生を送っている私ですら、前を向いて生きていけるんですよ」。戦争や病、偏見に負けず、信念を貫いてきた“闘う麗人”が贈る幸せのメッセージ。幸田文氏との対談、随筆「素顔の三島由紀夫氏」など貴重な記事も収載した贅沢な一冊
※いずれも小社刊。価格はともに税込



