歌手、俳優の美輪明宏さんがみなさんの心を照らす、とっておきのメッセージと書をお贈りする『婦人公論』に好評連載中「美輪明宏のごきげんレッスン」。9月号の書は「清白」です。
※去る6月20日、美輪明宏さんが91歳で逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。生前にいただいていた原稿を掲載します。
※去る6月20日、美輪明宏さんが91歳で逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。生前にいただいていた原稿を掲載します。
不運を分析してみる
清白という言葉は、もともと漢語から来ており、「心や行いに一点の汚れもなく、潔白であること」「やましいところがまったくないこと」を意味しています。
誰でもなにか物事がうまくいかなかったり、不運やトラブルに巻き込まれると、人のせいにしたり世間を恨んだりしがちになるものです。
私もそうでした。ずいぶん前のことですが、金銭関係で人にだまされたこともあるし、信じていた人から恩を仇で返すような仕打ちを受けたことも多々あります。そういうとき、つい「私は悪くないのに」「許せない」と思ってしまうのです。
でも、私はそれで終わらせません。なぜそうなったのかを、よくよく分析してみるのです。その人との出会いにまで遡り、関係を築くなかで起こったいろいろなことを思い出し、冷静に考えてみる。そうすると、気づきます。「私自身の対処の仕方にまずかったところがあった」「私に物事を見る目がなかったのだ」「得したいという下心や欲がなかったとはいえない」と。

