会った途端に惚れて

北原という人には、わたしは会った途端に惚れてね、毎日毎日、都新聞へ会いに行ったの。北原のほうの気持は聞いたことはありませんけれども、それでも、わたしが毎日会いに行ったら、新聞社を辞めて、文学一筋の人になったのだから……。

それであの絵はね、わたしが妬きもちを焼いたことがあってそのとき、「この絵を見て妬きもちを鎮めて下さい」なんて言って持ってきたのよ。

宇野千代
(写真:『宇野千代 ちょっと自伝』より)

結婚なさる前かって? ええ、もちろん、なさるうーんと前ですよ。なんでもないようなことでも、なんでも妬いたんでしょうよ。北原も髪の毛が無くなる前は、とてももてていましたからねぇ。わたしは一緒に映画に行っても、映画なんか見ないであの人の顔ばっかり見てた。

ええ、結婚なさった方以外に、その他のお相手も沢山ありましたよ。そうでなければ数が合わない。

わたしは浮気性なんですよね。ちょっといいとこがあると、ああこの人素敵だ、と思っちゃうの。あなた方はそんなことありませんか?

誰でもあるよね。――人間はみな同じである。宇野千代先生が変ってるんじゃなくて、みな同じですよ。