ご近所に悟られないように…

かくして数年寝かせた葬式が満を持して行われた。問題は「自宅葬」なのに「ご近所に悟られないようにする」というミッションである。

葬式は家でできても火葬は火葬場に行くしかない。ある程度の人数で火葬場へ行くにはマイクロバスをチャーターしなくてはならなかった。

しかも世田谷の激セマ住宅街である。家の前までは大型車は入れないから、家からゾロゾロとバスまで歩かなければならない。そのため今回の葬式は喪服禁止とした。

しかし皆様そのような葬式の経験がなかったのか、「そうは言っても一応……」と喪服で来てしまう方もいたから、夜逃げさながらマイクロバスに乗っていただくほかなかった。

荼毘に付した後、精進落としのためにまた自宅に戻る。今度は泥棒よろしく家に入っていく。コソコソしなきゃならない葬式など聞いたことがない。

なんとも忙(せわ)しない葬式であったが、なんとか祖母の希望通りの式にすることができたと思う。死んでなお我儘で人を振り回すところはさすが祖母と言うべきか。しかし祖母の我儘もこれで最後かと思うと、一抹の寂しさを覚えるのである。

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