時代を超えて友達に
<珠のモデルの宇野千代は、明治30年、山口県・岩国に生まれた。常に自分らしさを失わず、作家、編集者、デザイナーとしても活動。ファッション誌『スタイル』を創刊したほか、自伝『生きていく私』は100万部を超えるベストセラーになった。プライベートでは、4度の結婚と離婚を経験し、華やかな恋愛遍歴でも知られる>
『ブラッサム』の撮影が始まる前に、友人と岩国に行きました。千代さんの生家にお邪魔しました時には、ボランティアの方に、千代さんが家のなかでよく座っていた場所や千代さんのお父さんのお部屋を教えていただいたことが印象に残っています。みなさんがとても親切で、生き生きとされていて、まるで千代さんのようでした。
『ブラッサム』の岩国での撮影は、桜の時期でした。山があって川があって、とても自然豊かで美しい場所。雄大な自然の中に存在する錦帯橋が力強い。錦帯橋を作った人たちは、自然の中でたくましく生きたのだろうと、その苦労を想像しました。
千代さんは知れば知るほど、語り尽くせないくらい魅力的な方。千代さんの残した小説やエッセイなどあらゆる資料に目を通しました。洋装から和装まで、千代さんの写真はどれも素敵。時代を超えた友人ができたような感覚です。
今よりも女性の自由がなく、自分で人生を選び取ることが難しかった時代に、自分のやりたいことを貫いた人なので、とても尊敬しています。千代さんの持っている強さを、『ブラッサム』の葉野珠として伝えてきたい。珠を見た視聴者の方が「自分も一歩前に進んでみよう」と思っていただけたらいいなと思いながら撮影に臨んでいます。
モチベーションを上げるため、撮影の合間に読んでいるのが千代さんのエッセイです。千代さんはどん底の状況でも、数々のポジティブな言葉を残しています。世間から厳しい目を向けられた時でも、どこか明るさがある。千代さんは「ご気分はいかがですか?」と聞かれると「最高です」と答えていたそうです。
珠を演じるようになってから、私も千代さんのように「最高です」と言うようにしていて。『ブラッサム』の撮影では、日々いろいろな感情を表現するので疲れてしまうことがあります。調子が良い時は「最高です」とすらっと言えるけれど、疲れているとなかなか言えない。きっと、千代さんは、前向きな言葉を自分に発することで、実際に最高な状態に持っていっていたのだと思いました。素敵ですよね。