ティム・クックに優しくハグされた

茂木 さらにCNNのニュースがきっかけで、世界のアプリ開発者が集まるイベント「WWDC」に招待されたり、国連で英語のスピーチもなさったそうじゃないですか。

若宮 WWDCの会場で、アップル社CEOのティム・クックさんとお会いできたのも嬉しかったですね。シニアユーザーの気持ちを伝えるチャンスと思って、「指先が乾燥するとスマホがうまく反応してくれないから、改善してほしい」と、ブロークンな英語でお話ししてきました。

茂木 クックさんの反応は?

若宮 「あなたから大きな刺激をもらった」と言って、優しくハグしてくださったんですよ!

茂木 パソコンを始めたのは、いくつの時なんですか。

若宮 60歳で定年退職するちょっと前からです。若い方に「ずいぶん遅くに始められたのですね」と言われるのだけど、私が定年を迎えた23年前は1995年ですからねえ。それ以前にはパソコンはあまり普及していなかったのですよ。

茂木 そりゃそうだ。(笑)

若宮 銀行の営業や企画の仕事をしていた時は人との接点が多かったのですが、退職後に高齢の母と2人暮らしになったら「人と話す機会がなくなってしまう」と不安になって。ちょうどその頃、パソコンを使えば知らない人同士でコミュニケーションが楽しめるという記事を読み、「私もやってみたい!」と思ったのです。

茂木 現在のSNSに繫がるような、同じ趣味を楽しむコミュニティサイトは当時からたくさんありましたね。

若宮 私はずっと「メロウ倶楽部」というサイトの運営に関わっていて。今も精力的に活動していて、介護のようなシニアならではの悩みを打ち明ける場としても役立っています。

茂木 アメリカの心理学者が発表した研究では、「社会的孤立は、喫煙やアルコール摂取と同じくらい健康リスクを高める」とされています。

若宮 怖いですね。おひな様のアプリを作ったのは、私が理事を務めるNPO法人ブロードバンドスクール協会のイベント「電脳雛祭り」でお披露目したいというのがきっかけ。仲間がいるから、ひらめきのヒントも生まれるのだと思います。