「珠様」に違和感も
<『ブラッサム』は明治41年から物語が始まった。葉野珠は4人きょうだいの長女で、父・清治(渡部篤郎)と継母・リョウと暮らしている。リョウは、前妻の子である珠を「珠様」と呼び、深い愛情で育ててきた。一方、家督を弟に譲る代わりに働かず、本家からの仕送りで暮らす清治は家族に厳しく当たり、町の人からは「クズ」「放蕩無頼」と言われていた>
お芝居の中では、珠とリョウの血がつながっていないということを一切感じさせたくありませんでした。リョウが、子どもたちのなかで珠だけ「様」をつけて呼ぶことに違和感があって。血のつながった自分の子どもじゃないから、珠を特別扱いしているように感じて引っかかりました。でも、マイナスに捉えるのではなく、「あなたはほかの人よりも特別な存在だよ」とプラスに受け止めているのだと理解して、気持ちを切り替えたんです。
<ある日、リョウは清治がかわいがっていたカナリアを逃してしまう。激昂した清治から責められたリョウは、珠以外の3人の子どもを連れて実家に帰る。両親から「清治とはもう縁を切って珠のことはあきらめろ」と言われるリョウ。一方、学校から帰宅した珠は、カナリアを探しに行くが見つからない。リョウの実家に行き、「絶対にカナリアを捕まえるから、帰ってきてほしい」と訴える珠。「おかか」と呼び続ける珠の声を聞いたリョウは涙を流す。珠が諦めて家に帰ろうとすると、リョウは戸を開けて外に出て珠を抱きしめた>
カナリアを逃がしてしまって実家に帰った後、葉野の家に帰ることを決めたリョウが珠に「これからは珠と呼ぼうか」と伝えたのは、リョウの素直な気持ちでした。でも、珠が「珠様」でいいと言ったので、そのまま「珠様」になりました。こういう親子が本音で話す会話があったことで、絆を深められたと思っています。