80代の珠を冒頭で見せた理由
第1回の冒頭に登場したのは、1980年代の珠と秘書の藤川優子だった。80代の珠を加賀まりこが、優子を松たか子が演じ話題になった。「脚本を練っている時に、1980年代に生きる80代の葉野珠がいないと成立しないと感じました。主演の方の年齢設定を上げても、80代まで演じるのはなかなか大変ですし、80代の珠を違う役者さんが演じたほうが見やすいのではないか、リアルに80代を生きている方が演じたほうが言葉にも深みが出るのではないかと思ったんです」と明かす。
珠が80代になった時に、どんな人物だったらかっこいいのか。そう考えた時に思い浮かんだのが加賀だった。「困難に直面した先に、加賀さんの演じる珠のような大人になっていたら、若い頃の珠にとっても、視聴者にとっても勇気づけられるような珠像になると思いました」と語る。
加賀が演じた珠は眼鏡をかけた着物姿。初回放送時には、その扮装が「宇野千代そっくり」と話題になった。80代の珠役について、加賀にオファーしたときのこと。「加賀さんから出演のお返事を待っている時に、メールをいただいて。そこには『いい眼鏡を見つけたの』と書いてありました。そのメールを見た時に、改めて、加賀さんに珠役をお願いしたいなと思いました。珠がこんな大人になっていたら素敵だと考えました」
東京・青山の書斎で『生きて行く私』を執筆する珠から物語が始まる。優子とともに故郷・岩国に行き、そこで取材を受けた珠。優子から「今のご気分は?」と聞かれると「最高です!」と軽やかにほほ笑む場面が印象的だった。
「ファーストカットを加賀さんで勝負したいと思い、全身全霊を込めて撮影しました。珠は困難の多い人生ですが、最終的に困難を突き抜けて、最後に幸せな80代の大人になるというところを見せたかった。そうすることで、今の苦しさは幸せになるためのカギになると制作陣も思いたかったし、視聴者もそこを見たいだろうと考えました」