常に前向きな主人公ではないけれど

連続テレビ小説の主人公は、オーディションで選ばれることも多いが、今回はキャスティングで石橋静河に決まった。「強い眼差しに惹かれました。そして、石橋さんは笑顔がとても素敵です。珠がいろいろな人と出会って別れていくなかで、言葉だけじゃない部分でどうお芝居をするのか。珠のどの瞬間を切り取るかが大事になる。珠は苦しくて泣くこともあるけれど、笑顔がとってもいい人がいいと思いました」と語る。眼差しの強さと魅力的な笑顔は、珠の子ども時代を演じた村上蘭にも通じる部分だったという。

(『ブラッサム』/(c)NHK)

自由のない時代に自分を貫く珠だが、「常に前向きな主人公ではない」という。「いろんなことをぶっちぎって突き進むのではなくて、困難に巻き込まれながらも、一歩一歩進んでいく。大股の一歩ではなくて、にじり出るような一歩で進む人」をイメージしている。演出や石橋とも相談し、「落ち込むし、へこむけれど確実に這い上がる。悲壮感がなくけろっとしている部分を大切にしていく」と決めた。

第1~2週で描かれた珠は、自分が何者かもわからず、家族や周囲を気遣うおとなしい少女だ。それでも、時折、意志の強さを見せる。強さと弱さを併せ持つ珠が、これから重ねる時間の先に、「最高です!」と自分を鼓舞する80代の珠が待っている。

「『ブラッサム』の撮影を通じて、ドラマは理屈もストーリーも大切ですが、感情で動かすことが大事だと改めて思うようになりました。石橋さんのお芝居は、日常や暮らしをまといながら、にじり出るような一歩を感じさせる説得力がある。いろいろと雑音が多いなかで自分を肯定するのが難しい時代。それでも自分を大切にして生きて行くということをちゃんと伝えるドラマがあっていいと思っています」

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