「両親はあの時どんな思いだったのか」
<『遥かな町へ』の舞台は昭和30年代の倉吉だ。仕事の出張のついでにふと懐かしくなり、故郷の倉吉を訪れた博史は、母の墓参りをしていた時に倒れ、気が付くと中学生だった1963年にタイムスリップしていた。48歳の意識のまま14歳の身体に戻った博史は倉吉の街で再び家族と向き合うことに。やがて失踪してしまう父・与志雄(滝藤賢一)や母・和江(戸田菜穂)、妹・京子(このか)や祖母・静江(紀比呂子)と日々を過ごす。父が蒸発した日まであと4カ月。父の失踪後の母の苦労を知っている博史は、父の失踪を止めようとするが…>
映画の脚本の前に、まず原作漫画を読んだんです。ロマンがあって、ファンタジー要素にワクワクさせられました。自分が今の年になったからこそ、響くものがある。ちょうど、この作品の撮影に入る前から、「両親はあの時どんな気持ちだったのだろう」と考えることが増えていました。自分が40歳を過ぎたからかもしれません。僕は幼少期からバレーボールをやっていて、親にはよく世話になったんです。両親は共働きでしたけれど、土日には僕のバレーの練習や試合のために車を出してくれていました。
子どものためとはいえ、自分の休みをつぶしてくれていた。今、子どもがいない僕からしたら、疲れてゆっくりしたい時もあっただろうな、と思ってしまうんです。もし、親に聞いたら「自分を犠牲にしたとは思っていない」と言うと思います。
僕の家族は今でも結構仲が良くて、毎日のように両親やきょうだいで作っているグループLINEが動くんです。なので、当時の両親の気持ちとか…。いろいろ聞こうと思えばそこでも聞けるんですが、母親はおしゃべり好きなので、1聞くと10返ってきてしまう。だからいつも、「まだ、聞かなくていいかな」って思っちゃうんですよ。(笑)
<家族に向き合う一方で、博史は大人の知性で、初恋の人・智子(磯谷萌々子)との距離を縮める。中学生とは思えない落ち着いた態度に智子は惹かれていき…>
過去に戻って憧れの子と距離を縮める。いい年をして、幼稚だと思われるかもしれませんが、「時間を戻して、好きな子に告白する」とか、いわゆる「たられば」って誰しもが持っていると思うんです。中年の男性にすごく響く。僕が14歳に戻ったらですか?自分のこれまでの経験を存分に使って、好きな子にいろいろアピールするかもしれません。(笑)