尾崎士郎は男の人から好かれる人

尾崎士郎という人は、女に好かれるんじゃあなくて、男の人に主に好かれていましたね。

一緒に暮らしていたとき、尾崎が表に出かけると、そういう男がゾロゾロついて、友達じゃない、そのへんで好きになった人、10人も20人も連れて帰るんです。

『宇野千代のことば 書いて、恋して、おしゃれして』(著:宇野千代/平凡社)

心の優しい人だから、人から親切にしてもらうと、自分も、それに対して親切をし返す。その親切がすごいのよ、だから友達が増える一方で……まあね、面白かったけど苦労しましたよ。

私は、自分の亭主が連れて帰った人たちなんだから喜ばせようと思ってね、酒を買いに駆け出して行くのよ、金もないのに。あっちの酒屋、こっちの酒屋、借りがいっぱいあって、どこへも行かれないようなときでもね。