歌手、俳優の美輪明宏さんがみなさんの心を照らす、とっておきのメッセージと書をお贈りする『婦人公論』に好評連載中「美輪明宏のごきげんレッスン」。10月号の書は「けじめ」です。
※去る6月20日、美輪明宏さんが91歳で逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。生前にいただいていた原稿を掲載します。
※去る6月20日、美輪明宏さんが91歳で逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。生前にいただいていた原稿を掲載します。
馴れ合いは争いの元
人間関係で大事なのは、「けじめ」です。人は親しくなるほど、互いに図々しくなります。その結果、相手の心の中に土足で踏み込んだり、依存したりしがち。でも、いい関係を長く続けたいのなら、「けじめ」をきちんと守り、ある程度の距離感を保つべきです。
私はつねづね「人間関係は腹八分目ではなく、腹六分目がいい」とお伝えしてきました。親しき仲にも礼儀あり。馴れ合いは争いの元です。これは家族でも同じこと。いえ、むしろ家族の中でこそ、「けじめ」を意識すべきでしょう。というのも、家族どうしはどうしても馴れ合いやすく、距離感を見誤りやすいからです。
いつからか親離れ、子離れをしない親子も増えて、「一卵性母娘」などという言葉があるように、べったりとした母子関係も少なくありません。一見、仲がよさそうで人から羨ましがられるかもしれませんが、お互いに依存し合い、人間としての独立心を育む機会が奪われる可能性もあります。

