では「本当のスパイ天国」はどこなのか?
では、本当の意味での「スパイ天国」とはどのような国なのだろうか。
たとえば台湾では、軍人が中国側に取り込まれる事件が相次いでいる。またアメリカでも2020年、FBI長官が中国のスパイ事案が12時間ごとに発生し、数千件の防諜調査を行なっていると述べた。
こうした国々と比べれば、現在の日本は少なくとも「防諜活動が完全に機能不全に陥っている」とは言い難い。
もちろん、日本が安全という意味ではない。包括的なスパイ防止法の未整備や、経済安全保障分野での情報流出リスクなど、課題は残る。
それでも、「スパイ天国」という言葉だけが独り歩きすると、現場で地道な防諜活動を続ける警察や関係機関の実態を見誤る。
重要なのは、日本が無防備なのか、十分安全なのかという二者択一ではない。現実の防諜は、その中間で続く終わりのない攻防なのである。