研究者たちが開発に使ったのは…
論文では、次の2点を解決する装置として紹介されている。
(1) ディスカッションを行っている時、やたら長く話したり他の人の話を遮ったりする人が結局、強力な発言権を持つ
(2) 図書館や電車など、大声で話すのがふさわしくない公共の場において、大声で話している人がいても注意しにくい
研究者たちが開発に使ったのは、多くの人が身近に経験したことのある原理だ。
私たちは話をする時、自分の声の聞こえ具合に応じて話し方を調整する。周りがうるさい時は自分の声が聞こえず、結果として声を張るのが一つの例。他にも、うまくろれつが回っていないのに気づき、もっとはっきり喋ろうとする時も同様である。
スピーチジャマーは、発声と同時に声が聞こえる、という常識にズレを生じさせ、発声者を混乱させる。エコーが強くかかる講演ホールでマイクを使って話したことがある人や、Zoom会議で相手側から自分の声が聞こえたことがある人は分かるかもしれない。自分の声が話しているタイミングより少し遅れて聞こえると、うまく話せなくなってしまうのだ。
人工的に声を遅らせて聞かせることを「遅延聴覚フィードバック」という。遅延聴覚フィードバックが起こると、多くの人は言葉が詰まってしまったり言い間違いを繰り返してしまったりする。ただ、なぜか吃音症や早口の治療に、遅延聴覚フィードバックが効果的な場合もあるようだ。
