答え

自分の血をわけた赤ん坊を、まだほしくない、というだけの理由で砂浜に埋めてしまった若い母がいるかと思えば、一方、実の親の意見が気にくわぬ、と殺してしまった青年もいます。本当に耳をふさぎたくなるようなきょうこのごろです。

その点、お互いに深い愛情で結びついているあなたのご主人ご一家は、たしかに、あなたのおっしゃるように「申し分のない」ご家庭です。

『わたしの人生案内』(著:沢村貞子/中央公論新社)

しかし、半面、あまりの血の濃さに悩むあなたのお気持ちもわかります。私の母は、私が「鬼子母神」とあだ名をつけたほど、母性愛の強い人でした。幼いころ、どんな病気をした時も、夜半に目をさますと、必ず母が上からじっとのぞきこんでいました。私はそれがうれしくて、また病気になりたい、と思ったことを覚えています。

それがある時、その母の目がうっとうしくて、ふっと払いのけたい、と思い、自分でそのことに気がついておどろきました。大人になってきたせいです。