手紙

その後、梶井君が京都に帰り病床に就き、恰度(ちょうど)「変な病人」と云う作品を書いた頃だったが、病床からこまごまと書いた手紙をくれた。

この手紙で僕たちのわだかまりなど、どこかへ消しとんでしまった。

『宇野千代をめぐる男たち』(編:中央公論新社)

僕も手紙を書いた。

「早く全快する様に」と梶井君の顔を思いながら書き、「ぜひ見舞に行きたいと思っている」と云ってやった。

これを梶井君は喜んで、「君の来る日を指折り数えて待っているから」と、詳しい地図まで添えて、また手紙をよこした。