死ぬ前にぜひ会いたかった
死ぬ前にぜひ会いたかった。
然(しか)しとうとう会う機会にめぐまれずに了(しま)ったが、それでも僕たちの間の、打ちとけない気もちが、たとえ死の直前にではあっても、氷解したのは嬉しい。
わだかまりをのこしたまま梶井君が死んでしまっていたら、僕は今、辛さを感じていたことだろうと思う。
※本稿は、『宇野千代をめぐる男たち』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『宇野千代をめぐる男たち』(編:中央公論新社)
宇野千代と恋愛・結婚関係、あるいは特別に親しかった男性作家による宇野千代についてのエッセイ、および宇野千代をモデルにしたと思われる小説を集成。
作品論、書評、解説原稿などは除き、あくまで宇野千代という人物、人となり、女性像に焦点を当てる。




