「お尻」は一つの筋肉ではありません

平井:お尻の筋肉というと、一つの大きな筋肉を想像してしまいます。

高平:実際には役割の違う筋肉があります。代表的なのが、大殿筋(だいでんきん)、中殿筋(ちゅうでんきん)、小殿筋(しょうでんきん)です。

大殿筋は、股関節を後ろへ伸ばす方向に働きます。椅子から立ち上がる、階段や坂を上る、少し速く歩くといった、身体を前や上へ運ぶ場面で重要です。一方、中殿筋や小殿筋は、歩いているときに骨盤が左右へ大きく傾かないよう支える役割を担います。

(写真:AdobeStock)

歩行では、一歩ごとに一瞬、片脚だけで身体を支える時間があります。そのとき、股関節の外側にある筋肉が働いて、骨盤や上半身を安定させています。医学研究でも、中殿筋など股関節の外側を支える筋肉は、歩行中の骨盤の安定に重要な役割を持つことが示されています。

ですから「お尻を使って歩く」といっても、殿部に力を入れてカチカチに締めながら歩くという意味ではありません。歩く速度や坂道か平地かによっても筋肉の働き方は変わります。必要な筋肉が、必要なタイミングで自然に働けることがポイントです。