【オーラルフレイル危険度チェック】

では、多面的な予防・対策の方法を紹介していきましょう。

まずはちゃんと噛める歯を維持すること。歯を失う原因の第1位である歯周病は、40代以上の8割が罹っていると言われます。朝と晩、最低2回の歯磨きで清潔を保ち、セルフメンテナンスをするのが基本。

加えて、かかりつけの歯科医を決めて、痛みやトラブルがなくても年に3、4回は定期的に通い、口の状態のチェックと専門的なクリーニングを受けましょう。義歯を使用している場合も、硬いものを食べられるように調整や治療をしてもらうことが大切です。

普段の食事で噛む筋肉を鍛えることもポイント。肉やタコ、たくあんなど噛み応えのある食べ物を献立に少量ずつ入れましょう。ただし、100%の力で噛み続けると歯茎の負担になるので、ほどほどの硬さのものにしてください。

前述の通り、食べ物を咀嚼して喉の奥まで運ぶ間には舌が大きな役割を果たします。次ページの「パタカラ体操」で、舌や口周りの筋肉を鍛えましょう。舌の動きを滑らかにする効果があり、滑舌の改善にも有効です。

また、咀嚼をスムーズにするうえで重要なのが唾液。加齢とともに分泌されにくくなり、口の中が乾きやすくなると、食べづらく、会話もしづらい。口の自浄作用が落ちて歯周病のリスクも高まります。同じく次ページの「唾液腺マッサージ」で、やさしく刺激し、唾液の分泌を促しましょう。

なお、飲み込む力は、噛む力や滑舌よりも比較的高齢になるまで保たれますが、唾液腺マッサージで口腔を潤すと、より飲み込みやすくなります。

こうした口のケアやトレーニングは毎日続けることが肝心。実際にオーラルフレイルの人がトレーニングを4週間以上続けたところ、噛む力、滑舌、飲み込む力が改善したというデータも報告されています。ただし4週間でやめてしまえば逆戻りですから、さらに3ヵ月、1年……と継続していただきたいですね。

たとえば朝、歯を磨いたついでにパタカラ体操で口周りと舌の筋肉をほぐす、食事の前に唾液腺マッサージをして口の中を潤すなど、日常生活の中に習慣として組み入れると無理なく続けられます。家族と一緒に取り組むのもいいでしょう。

フレイルの段階であれば、適切な対処や自分の努力によって健康な状態に戻ることが可能ですから、ぜひ継続して取り組んでください。