孤食を避け、積極的に会話を

「食べる」ということが、健康的な生活を送るためにいかに大切な要素であるかについてお話ししてきましたが、食の効果は体に栄養を届けることだけではありません。家族や友人とコミュニケーションをとりながら楽しく食事をすることは、心の栄養補給になります。

とはいえ、今年は新型コロナウイルスの脅威によって、人と《つながれない》状況になってしまいました。誰にも会わない、しゃべらない、体を動かさないという生活では、オーラルフレイルの加速は避けられません。

会話をしないと口の機能も衰えます。自粛生活で人と会う機会が減っているのであれば、子どもや孫、友人と電話やオンライン通話で話すのもいいですね。もし独居の高齢の親がいる場合は、まめに電話をし、時には訪問して毎日孤食にならないように気を配ってあげましょう。

いまだ地域活動の多くはストップしている状況で、高齢者が社会参加できる場、交流の機会は激減しています。今後、高齢者の集い方は、実際に会うだけではなくオンラインを活用するなど、多様な方向に進んでいくでしょう。高齢者医療に携わる私も、それを後押しして、自治体と協力しながら地域の集いをすすめていきたいと考えています。