いい作品との出会いが新しい力になるなら
小泉 コロナ禍が続き、多くの人が頑張ることに疲れたと感じている。そんなときこそ、いい映画を観た、いい演劇に触れた、いい本を読んだ、ということが励ましになるはずです。誰かとのおしゃべりのきっかけや、息抜きにもなる。
行定 そういう人たちがいるとわかれば、僕たちも次に進める。作品をつくり続けるしかないな、と思わせてくれます。
小泉 海外の学者さんが言った「コロナ後は利他的な世界になる」という言葉も心に残っています。
行定 それ、いいですね。そこには他者との連帯もあるし。
小泉 さっき、横のつながりという話が出たけれど、どんな人も必ず誰かの役に立てるし、みんながそう考えると、本当に素敵な世の中になるだろうと思います。
行定 先の見えない不安に襲われている今だからこそ、芸術やエンターテインメントがやれることをみんなで考えながら、前に前にと進んでいきたいですね。
重松 厳しい状況にあって、未来を見つめて力強く動き続けているお二人に話をうかがい、僕もたくさん勇気をもらいました。
小泉今日子
女優・歌手・株式会社 明後日 代表取締役
1966年神奈川県生まれ。82年歌手デビュー。歌手、女優として舞台や映画、テレビドラマ、CMなど幅広く活躍。2015年に株式会社明後日を創立、代表取締役を務める。プロデュース・主演を務める舞台『ピエタ』が、東京・本多劇場(7/27~8/6)、愛知(8/9、10)、富山(8/19、20)、岐阜(8/26)で上演予定。
行定勲
映画監督
1968年熊本県生まれ。2000年劇場公開監督デビュー。『GO』(01年)などヒット作数。
19年制作『劇場』がAmazon プライム・ビデオでの配信と映画館で同時公開(現在は配信のみ)。最新作『窮鼠はチーズの夢を見る』が公開中
重松清
作家、早稲田大学文化構想学部教授
1963年岡山県生まれ。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、同年『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞、14年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。最新刊は『ひこばえ』。20年7月に『ステップ』が映画化(飯塚健監督・山田孝之主演)。