子どもたちがお気に入りの作品は

自分が母親になり、これまで意識してこなかった母性愛を自覚したことは、演技にも大いに影響しています。実はジョンヨンの心の痛みを表現するのに、ともすると感情移入しすぎてしまうことが何度もあったのです。時々「ここはもう少しシンプルにやらなければいけないな」と自制する必要があったくらい、この役は胸に迫るものがありました。

わが家の子どもたちは、残念ながら映画本編はまだ観ていないのですが、プレビュー的な映像や予告編は観ています。普段の私と違うせいか、ものすごく不思議そうにしていましたね。(笑)

子どもたちは、私の出演作のなかではドラマでの復帰作、『師任堂』を一番気に入ってくれているようです。おそらく、心のあたたかい母親の役だからなのでしょう。いずれにしても、自分たちの母親がテレビに出たり、スクリーンに映し出されたりする意味は理解していますし、それらを観るのも好きなようです。

『ブリング・ミー・ホーム』を撮影したのは、新型コロナウイルスが流行する少し前でした。しかし、クロージング作品に選ばれ、イタリア・フィレンツェで行われる予定だった映画祭はオンライン上映に縮小されました。こういう状況なので仕方がないとはいえ、役者として行動の範囲が狭まってしまったことが無念でなりません。

映画界全体が大打撃を受けた今は、皆で力を合わせてこの苦境を乗り越えていくしかないと強く思っています。

また、個人的なことについて言いますと、こういう状況下で子育てをするのは本当に大変です。子どもたちは毎日登校しているわけではないため、自宅で充実した生活が送れるよう母親として常に気を配る必要がありますから。コロナが収束するまでは、ウイルスの感染に気をつけながら子どもたちを守ることに集中しなくては、と気を引き締めています。

06年に日本を訪れた際には、NHKホールでファンミーティングが開かれるなど、日本の皆さんには大きな愛をいただきました。今でもSNSを通じてメッセージを送ってくださるファンの方々もいらっしゃいます。

この先コロナが収束して機会に恵まれましたら、皆さんの関心に応えていきたい、そう思っています。どうかそれまで体に気をつけて、お元気でお過ごしください。