終わりが見えないからこそ、長くつらいものに感じられがちな介護。情報も知識も足りないまま実際の介護生活に突入すると疲弊しきってしまいます。それを避けるためには、終わりをしっかりと見据えることが大切なのだとか。介護者が集うカフェを運営する阿久津美栄子さんにお話を聞きました
突然始まる介護、全体像を知っておけば後悔も減る
親が高齢であっても、元気なうちは「まだ大丈夫だろう」「今から心配しても仕方ない」と思うものです。でも介護は、ある日突然始まり、そして終わる。私がまさにそうでした。
介護経験者が口を揃えて言うのが、「介護の始まりから終わりまで」全体像を知って見通しを立てたいということ。いつまで続くのか、自分の生活はどうなってしまうのか、先が見えないから混乱し、疲弊してしまいます。
はっきり申し上げますが、介護の終わりは死別です。私もそうでしたが、介護者は親の死を考えたくないもの。ですが死を見据えないと、その前にやるべきことが見えなくなります。あらかじめ介護の全体像を可視化し把握しておけば、「あの時、こうしていたら」と後悔することも減る。そんな思いから考えたのが、介護の始まりから終わりまでを4ステップで表した「介護ロードマップ」(次ページ)です。
なお、このロードマップは、要介護者が認知症であるケースを想定して作ったもの。認知症は、進行や変化が比較的ゆるやかですが、病気によっては【混乱期】からいきなり【看取り期】に飛ぶケースなどもあり、みなさんがまったく同じということはないでしょう。
ただ、介護者のおおよその道のりとして共通することは多く、目安になるはず。介護者はこのロードマップを見ることで、今の自分がどのあたりにいるか、これからどうすごしていくかを客観的に判断できるはずです。
苦悩と後悔ばかりの介護とならないよう、それぞれの時期にしておくべきことや心得ておきたいポイントについてお伝えしていきます。