イラスト:タムラサチコ
年齢の壁や家族の反対を乗り越え、仕事を得ても、思うようにいかないことばかり。それでも働き続ける3人の女性を突き動かすものは。2人目は、息子の学費捻出に苦しむ優美さん(58歳)の事例です。(イラスト=タムラサチコ)

息子の学費のため、貯金を吐き出して

7年前、歯科医師を目指す息子が私立の医大へ進んだことから、優美さん(58歳・仮名)の人生計画は大きく変わってしまった。

国公立であれば入学金は30万、授業料は年55万円の予定だったのに、進学先は入学金200万、授業料年600万円とはね上がる。

「歯学部は6年制なので、卒業まで最低でも4100万円はかかることに。もう、腰が抜けそうになりました」

しかも、栃木の実家から電車通学も可能な大学だったにもかかわらず、歯科医院を営む夫(66歳)が、「男にはひとり暮らしの経験が必要だ」と主張。金銭感覚のない夫の一言で、月10万円の仕送りも発生することになってしまう。「このままだとわが家は破産する」と震えた優美さんは、パートに出ることを考えた。

「でも、隣県に住む義母と実家の母の定期的なケアが必要で、びっしり仕事を入れるのは難しい。そうなると月収7万いくかどうか。もっと稼げるところはないかと探していたら、夫が、『うちの医院で働けば、従業員1人分の給料が浮くから、家計に15万円入れられる』と言いだしました」