ニューヨークでのお気に入りの場所、タイムズスクエアにて、忙しいレッスンの合間を縫ってほっと一息(写真提供:小出さん)
3年前にスキャンダルが発覚し、公の場から姿を消していた俳優の小出恵介さん。3年ぶりに芸能界に復帰することが報じられました。先日、『婦人公論』10月13日号掲載の独占告白が大きな話題に。アメリカでどのような生活を送っていたのか。復帰を決めた際に俳優仲間がかけてくれた言葉とは。『婦人公論』の記事から一部を掲載する。(構成=中村竜太郎 撮影=本社写真部)

なんとお礼を言ったらいいか

中村 ニューヨークへはいつ頃行かれたんですか。

小出 事務所との契約が2018年6月に終了した後ビザを取得して、その年の10月に移住しました。少しはできると思っていた英語がまったく通じなくて、最初は語学学校の一番下のクラスからはじめました。英語を必死で勉強するのと同時に演技学校に通い、それから現地のエージェントに登録して俳優の仕事を探すようになりました。

マンハッタンにワンルームのアパートを借りて、電車に乗ってリュックを背負って学校に通う生活で、新鮮ではありましたね。すべて失った状態ではあるんですけど、日本での経験がきつかったので、ゼロから頑張ろうという気持ちになれました。

中村 実際に行ってみて、ニューヨークでの活動はどうでしたか。

小出 想像していた以上に厳しいものでした。自分のなかに何か拠り所がないと、あの街では吹き飛ばされてしまいます。エネルギーや野望がない人は、誰の目にも映らない。「自分は役者なんだ」という強い気持ちがなければ、立ってもいられない感じでした。

だから、より自分自身と向き合いましたし、自分は役者だという気持ちを深めました。学校に行っても誰も僕のことなんか知らないけど、日本で長年やってきた役者なんだということをすべての態度で示す。俳優の仕事は何もないという現実を思うと滑稽なんですけど、その心持ちだけが唯一、僕を支えていたような気がします。