中村 演技の授業やオーディションはどうだったんですか。
小出 演技以前の問題で、まずは英語が伝わるかどうか。言葉で説明しなくても、演技を見てもらえればわかってもらえるんじゃないかと淡い期待を抱いていたんですけど、頑張って演じても全然認めてもらえない。
寄り添ってくれる人はいないし、先生ですら「はい、次」です。演技が自分の武器だと思っていたのに、完全に打ちのめされました。そんななかひとつだけアメリカの製薬会社のCMが決まって。横顔が映るだけの小さな仕事ですけど、本当に嬉しかったです。
さんまさんが一番優しかった
中村 そういえば、2019年9月に明石家さんまさんとのブロードウェイでのツーショット写真をインスタに投稿されたのが話題になりましたね。さんまさんがプロデュースしたNetflixドラマ『Jimmy~アホみたいなホンマの話』では、事件を受けて主役(さんまさん役)を降板(玉山鉄二さんが急遽代演)されましたけど、写真はお二人そろって屈託のない笑顔でした。
小出 騒動になって、さんまさんがどれだけ怒っていらっしゃるかを想像したときが、僕は一番怖かったんです。騒動の直後に震えながらお詫びの電話を入れたら、「大丈夫、大丈夫」と励ましてくださって。さんまさんの声を聞いた瞬間、ただただ涙が溢れ出て、あとはもう言葉にならなかった。一番怖いと思っていたさんまさんが一番優しかった。あの時の電話は一生忘れられないです。
中村 救われましたね。
小出 本当にそう思います。渡米してからもちょくちょく連絡を取らせていただいていたんですけど、昨年、さんまさんから「9月にニューヨーク行くから、1週間空けとけ」と言われて、一緒にミュージカル『ビートルジュース』を見て、ご飯もご一緒させていただきました。
僕の様子を見て、「お前がこっち来て、拗ねて遊び回ってるんやないかと心配してたわ。でも大丈夫やな。やりたいようにやったらええねん。どんどん挑戦しろ」と激励してくださったんです。さらに会話の途中、「そのことやったら、ニューヨークにいるあいつを紹介するわ」と、パパーッと連絡を取って、人脈をつないでくださったりも……。
僕は迷惑をかけた側なのに、逆にここまでしていただいて、なんとお礼を言ったらいいのか。ツーショット写真も、自分としては騒動を引き起こした存在で気が引ける部分はあったんですが、さんまさんが「写真はどういうふうにしてもかまわんで。好きにしたらええ」と言ってくださったので、SNSにアップしました。