「それまでの殻を破り、自由になったことで、物事が動き始めた気がします」

そんな時に、曽野綾子さんの『老いの才覚』を読んで感激し、40代半ばにして、一人で毅然と生きていこうと決意。撮影現場で「私、『孤独死』を覚悟しています」と発言し、まわりから「とこちゃん、何考えてるの?」と驚かれたこともあります。(笑)

本音では、ずーっと寂しかったんです。でもバレエダンサー時代に染みついた「常に凛としていなければいけない」という価値観に縛られ、人前で素の自分を出すことができませんでした。

事務所の方々には、以前から、「床嶋さんは普段すごく面白いから、それを出したほうがいいですよ」と言われていました。昨年、思い切って自分をさらけ出そうと大決心。『アウト×デラックス』という番組に呼んでいただいた際、「寂しい~っ! 誰かに抱きしめてほしい」と本音をぶっちゃけたところ、それを見た知り合いの皆さんが「とこちゃんに誰かいい人はいないか。なんとかしなきゃ」と考えてくださるようになり――おかげさまで出会いが訪れた、というわけです。それまでの殻を破り、自由になったことで、物事が動き始めた気がします。

 

ここは絶対にごまかしてはいけない

交際が始まって結婚を決めるまでには、乗り越えるべき山もありました。この歳になると、お互い生活のペースができあがっていますし。小さいことでは、お水の使い方やゴミ出しでもめたり。(笑)

彼は基本的にゆったりと受け止めてくれていたのですが、私自身、男性と暮らした経験がなく、一緒にやっていけるのか大変不安でした。毎日違うスケジュールで動いているうえ、急な変更があることもしょっちゅう。今まで自分中心に生きてきた私が歩み寄り、時には合わせ、また自分の時間も大事にする――ということを頭ではわかっていても、些細なことで軽くぶつかることもありました。

そんな時は、論理的に文章にしてメールで送りました。すると夫はそれに対して何も返してこないのですが、少しずつ変化し、受け止めてくれたように思います。

本音をぶつけることで関係が壊れるかも、という怖さも正直ありました。でもそれで崩れるなら、しょせんダメなんだ。自分を殺して相手に合わせていたら、結婚後いつか爆発するに違いない。だから、ここは絶対にごまかしてはいけないと思いました。