一人暮らしで、家事や料理をきっちりこなしていた夫(左)。出会ってすぐ、家に招いて手料理を振る舞ってくれたそう。知人宅での1枚(写真提供:床嶋さん)

彼を母に会わせたい

そんなやりとりを繰り返したのち、結婚を決めたのは8月です。昨年亡くなった父の新盆のため、私の実家がある福岡に帰る時、彼が「僕も一緒に行くよ」と言ってくれたのです。でも彼が突然お墓にあらわれたら、親戚一同びっくりしますよね。そこで、お墓参りの翌日、兄と会ってもらうことに。3人で会うと決めた時が、結婚を決意した瞬間でした。

今思うと、父が背中を押してくれたのだと思います。父は身体が弱ってきてから、「佳子、誰かいい人はおらんと?」と言っていました。「おらんよ」と答えると、「そうかぁ」と、ちょっと寂しそうでした。きっと私のことを心配していたのでしょうね。残念ながら母は認知症で、私の結婚のこともよくわからないのですが――。今はなかなか面会に行けないけれど、ガラス越しでもいいから、彼と会わせられたらいいなと思っています。

婚姻届を出して夫婦になったら、私たちはものすごく仲良くなりました。公表したことによって、お互い安心したというか。先日は彼の姪がすごくかわいいケーキをお祝いに持ってきてくれました。この歳になって新たに親戚が増えるなんて思っていなかったので、喜びがひとしおです。

実は、結婚を発表した時のインスタグラム写真は、お義兄様の奥様が撮ってくださったもの。私を受け入れていただき感激しましたし、これまでの人生の積み重ねやさまざまな縁を大事にすることが結婚なのかな、と思いました。

結婚して一番大きく変わったのは、夜ぐっすり眠れるようになったこと。この仕事を始めてからはやはり緊張感もあり、寝つきが悪くなることが多く、翌日撮影があると思うと、一睡もできない日もありました。

ところが今は、別人のようによく眠れるのです。やはり大きな安心感に包まれているからでしょうね。今まで味わったことのない幸せを、日々噛みしめています。