還暦は過ぎたのだけど
ヤマザキ 無収入の人間を2人も面倒みれないから、出産を機に詩人とは別れました。でもね、まったく意図せずできた息子だけど、彼を身籠ったから、11年も別れられなかった人とお別れできた。子どもを持った以上、生産性のあることがしたくて、漫画も描き始めた。
榎木 息子さんは、その時を、場所を、ヤマザキさんを選んで生まれてきたし、ヤマザキさんのいまの人生をつくったわけですね。
清水 なんだろう。ヤマザキさんって、すごくいろんなことを乗り越えてきて、本当にいい話をしているのに、全然その大変さが伝わってこない(笑)。話し方かな。
ヤマザキ 大変なことは笑い話に転換するに限ります(笑)。でも本当に毎日生きるか死ぬかだったんですよ! ああ、今日はさまざまな気づきがありました。
榎木 「気づき」で言えば、清水さんの芸は、マネされた方の本質を見抜いて、多少デフォルメすることで、相手に気づきを与えているなあ、と思いますね。
ヤマザキ 瀬戸内寂聴さんだって、清水さんのモノマネを見て、多少の“暴かれた感”を感じてらっしゃるんじゃなかろうか。
榎木 人はなかなか自分を客観視できないですからね。でも、客観視できない国は成熟しない。私は清水さんの芸があれば、日本が成熟できると思ってます。もっと突き詰めてください。清水さんのYouTube、いっぱい見てるんです。
清水 嬉しいです。(編集部に)国の成熟には私が必要だって! 削らずに書いといてね。(笑)
榎木 そういえば20代の頃、名前の字画を調べてもらったことがあるんです。「いい字画」と太鼓判を押されたあと、「ただ、あなたは大器晩成型で、還暦を過ぎてから本当に面白くなりますよ」って言われて。いま64でしょう。いつそれがくるのやら。
清水 今日のお話を聞く限り、宇宙の話や過去世の話をしても「変な人」なんて言われなくなる時代が、すぐそこにきているような気がします。2人とも、いましばらくの辛抱ですね。(笑)