各社のシニア向け家事代行サービスを比較検討していると、炊事や洗濯といった家事全般以外のニーズが透けて見えてくる。「お話し相手」や「散歩の同行」を、サービスに含んでいるところが少なくないのだ。キャスト(家政婦さんを最近はこう呼ぶらしい)が自分の子どもを同伴してくる家事代行サービスもあった。孫代わりということか。父は子どもが苦手なので、これは候補から外した。

一方で、探してもなかなか見つからないサービスもあった。食事を作ったあと、一緒に食べてくれるサービスだ。

老人の「孤食」は食欲減退の一因になるし、昼間に作ってもらったものを、夜にひとりで温めて食べるのも寂しかろう。そう思ってのことだった。金に糸目をつけなければ、入浴介助や特別な食事を作ってくれる、有資格者にしかできないサービスはいくらでも見つかる。しかし、介護不要の老人と「一緒に食べる」が少ない。なにか法規制でもあるのだろうか。

それとも、食卓を囲むのは家族の仕事だということか。キャストにも家族がいるだろうから、夕食をともにするのは難しいのか。

ここで、「やはり私が」と腹を決めるのが順当だろうが、私は商人の娘なので、「そういうビジネスをやったら、需要がありそうだな」と思うのが先だった。お父さん、仕方がない。あなたの娘だもの。


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年齢を重ねただけで、誰もがしなやかな大人の女になれるわけじゃない。思ってた未来とは違うけど、これはこれで、いい感じ。「私の私による私のためのオバさん宣言」「ありもの恨み」……疲れた心にじんわりしみるエッセイ66篇