101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。

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『〈お福分け〉という美しい心遣い』

ずいぶん昔のこと。夫の叔母が、いただきものの銘菓を五つばかり半紙に包み、「これはお福分け」と届けてくれました。おすそ分けを「お福分け」と表現する言葉の美しさとともに印象に残ったのが、半紙の上にのせられた二本の花穂。

素敵な心遣いでしたので、花の名を聞いたら、「ミズヒキソウよ」とのことでした。秋に細い花穂に咲くささやかな花は、上から見ると赤く、下から見ると白いのです。誰が名づけたのか、うまい命名だと思いました。

同時に、叔母の「暮らしのセンス」にすっかり感服し、我が家にも植えたくなりました。野の花なので丈夫で、植えるとどんどん増えていきます。

秋になると花穂を一、二本切り、コスモス一輪、あるいはホトトギス一茎などを添えて小さな花活けに飾っています。
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