「うつらない」だけでなく、「うつさない」ことが大事
コロナ禍でたびたび指摘されていることですが、感染予防の基本的かつ最も重要な手段は「マスク・手洗い・三密回避」です。
「ただし、マスク着用も手洗いも適切な方法とタイミングで行わなければ効果は発揮されません。同じ空間にいても、インフルエンザなどの感染症に感染する人としない人がいますが、その理由のひとつに、予防策を徹底しているか否か、もあるようです。案外できていない人が多いので、今一度、正しい方法を確認してください」
また、感染症は病原体と闘う免疫力とも関係があります。実際、免役作用を抑制するステロイドなどの薬剤を服用している人や、高血糖により免疫機能が低下しがちな糖尿病の人などは重症化することもあるようです。
「睡眠不足や不規則な生活も、免疫力を下げる要因となりうるので注意しましょう。また近年、腸内細菌叢が免疫力の維持に重要な役割を担っている可能性があるという報告もあります」
腸内細菌叢とは、腸内に生息する多様な細菌群のこと。これらのバランスを整える食事も、免疫力を維持する一つの手です。さらに、今冬はインフルエンザのワクチン接種が、例年以上に重要になりそうです。
「インフルエンザウイルスは低温と乾燥の環境で増殖しやすく、例年秋から冬にかけて流行します。今冬は新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの、両方の感染を考慮したほうがいいでしょう。そのため、インフルエンザの予防接種は早めに検討してほしいです。予防接種で感染を100%防ぐことはできませんが、感染しても重症化を防止する効果が期待できます。また、多くの人が予防接種を受けることでインフルエンザウイルスの感染が抑えられ、医療機関の混雑を避けることにもつながると思います」
万一、37.5度以上の発熱がある場合、まずは医師に相談を。
「初期症状では、新型コロナウイルスとインフルエンザを見分けにくいうえに、発熱外来のないクリニックでは新型コロナウイルスに対応できない場合もあります。いきなり受診するのではなく、まずはかかりつけ医や近隣の病院に電話で相談しましょう」