大切なお宝は、どこ?
夫にモノを捨てられ唖然としたエピソードがもう一つある。昨年、母が体調を崩してしまい、私は1ヵ月ばかり実家に帰った。夫は愚痴一つ言わず、快く見送ってくれた。もしかしたら内心喜んでいたのかもしれないが、それでも家事をこなしてくれた夫には感謝してもしきれない。
ところが、である。実家から戻るや、わが家はきれいに片づけられ、整理整頓が行き届いていた。夫は気持ち良さそうであるが、私は気分が悪い。何より、私なりに収納していたものが見つからない。ハサミは、平皿は、どこにある? と、日々の生活用品を探しているうちに、私のお宝がごっそりなくなっていることに気がついた。
私のお宝とは、ファッション誌のバックナンバーや、各種雑誌の切り抜きである。重厚感あるファッション誌は、その存在だけでセレブ感があり、しがない主婦がひとときの優雅な時間に浸るための必須アイテムだ。さらには使いかけの口紅や、試供品のシャンプー、リンス、スキンクリーム。夫にとってはただのゴミかもしれないが、私にとっては今か今かと出番を待っているカワイイ小物たちなのだ。旅行にでも行こうものなら、間違いなく陽の目を見るのに……。それらを夫は躊躇なく捨てた。