宮藤 なんのためにやってるんだろう、という気持ちにはなりましたね。僕らは1ヵ月稽古したところで中止になったウーマンリブ公演『もうがまんできない』を、もう一度稽古し直して収録に臨んだんですけど、完成に近づけば近づくほど、笑い声が一切ないからどんどん虚しくなってくるというか。
古田 「テレビの収録だと思えばいいんだよ」って言う人もいるんだけど、リズムは狂う。だって舞台上に何人も立ってて、「ここで笑い声がくる!」って自信満々にわかってるところでシーンとしてるんだもん。(笑)
宮藤 当たり前なんですけど、みんなけっこう真面目にやってるわけです。ギャグも全力で。たとえば荒川(良々)くんのセリフに、「お腹から腸を出して首に巻いて、ねじってねじって中尾彬」というギャグがあるんですけど、誰も見てないのに、よくやるなあと思って見てました。(笑)
清水 やらせておいて!
古田 逆に「これはウケねえだろうな」っていうのが、思った通りシーンとしてると、その状態がちょっと面白くなってきたり。
宮藤 芝居はお客さんの笑い声で完成するものだと、勉強になりました。芸人さんも無観客ではキツいでしょうね。
清水 ある番組で、芸人のもう中学生さんが無観客でライブをしてたんだけど、途中から絶望感が顔に出てて。他人事ではなかった、あれは。
宮藤 これを経験しちゃうと、お客さんが100%入るようになってウケなかったとき、もっとツラくなるんだろうなあ。
SNS、一切やってません
古田 この間ミッちゃん、『関ジャム』のゲストできてくれたよね。
清水 距離を取ったうえにアクリル板もあるから、実は2人くらい先の人がなに言ってるか、聞き取れないときがあって。勘で笑っちゃった。宮藤さんは退院直後のラジオ、どうしてたの?
宮藤 3回くらい、自宅から出演しました。スタッフが自宅にアンテナ立ててくれたら、まったく遜色ない音声で。ラジオって家からできるんだ、と知りました。
清水 怪我の功名(笑)。でも家族に聞かれながらしゃべるのって気になったりしない?
宮藤 そこなんですよ。やっぱり家族の前の自分とは別、というか。しかも安定的に電波が入る場所を探したら冷蔵庫の前で。(笑)