右から、宮坂昌之さん、赤江珠緒さん(撮影:本社写真部)
そもそも私たちの体の「免疫」とはどういう仕組みなのでしょうか? 免疫学研究の第一人者である宮坂昌之さんに、自身のコロナ感染をきっかけに、健康への意識が変わったという赤江珠緒さんが聞きました(構成=村瀬素子 撮影=本社写真部)

症状の違いは免疫力の差?

赤江 私は、元気に見られがちなのですが、実はよく風邪をひきますし、少し前に副鼻腔炎を繰り返した時期がありました。日頃から免疫力が低いのではないかと不安に感じていますので、今日は先生にいろいろ伺いたいと思います。

宮坂 たしかに免疫力が落ちると風邪など感染症に罹りやすくなる傾向はあります。いつ頃からそう感じるようになりましたか?

赤江 若い頃は本当に元気で。けれど、なんとなく体の疲れを感じ始めたのは40歳ぐらいでしょうか。生まれて初めてインフルエンザに罹りました。テレビとラジオの帯番組をかけ持ちして仕事が忙しかった頃です。42歳で出産してからは休日もゆっくりできなくなり、風邪をひく回数が増えました。

宮坂 赤江さんの場合は年齢よりも、生活リズムの崩れや、ハードワークによるストレスが、免疫力を低下させた要因かもしれませんね。4月には新型コロナウイルスに感染されたとお聞きしました。

赤江 はい。夫からの家庭内感染です。夫が入院後、私も発熱や咳の症状が出て自宅療養をしていたのですが、悪化して肺炎を起こしました。2歳の娘は預け先がなかったので、一緒に入院したんです。

宮坂 それは大変でしたね。

赤江 入院後は徐々に回復し、10日ほどで退院しました。後遺症もありません。念のため娘もPCR検査を受けたところ、まったく無症状なのに陽性で。夫は一時重症化し、私も中等症まで進行しました。こうした症状の違いは、免疫力によるものなのでしょうか?

宮坂 大きな要因の一つです。免疫力は20代をピークに加齢とともに落ちますが、新型コロナに感染して亡くなるのは60代以上がほとんど。一方、子どもは、BCGワクチンなど予防接種を受ける機会が多いでしょう。ワクチンを打つと、特定の病気に対する抗体ができるだけでなく、免疫力が底上げされる。だから子どもは免疫の力が強いのです。

赤江 娘に症状が出なかったのは、そういう理由があったのですね。

宮坂 赤江さんが完治して後遺症が出なかったのは、基本的な免疫がきちんと働いているからだと思います。ご主人が重症化したのは、もしかしたら感染した時にたくさんウイルスを吸い込んだのかもしれません。新型コロナの場合、浴びたウイルスの量によって、その後の症状が違ってくるということが明らかになっています。