赤江 それと、やはり健康維持には睡眠が大切だなと思い、最近は眠くなったら潔く寝るようにしています。以前は、娘を寝かしつけてから自分の仕事などをしていたのです。すると眠気が飛んでしまい、結局、睡眠時間が短くなって翌朝に疲れが残るという悪循環に。

宮坂 睡眠は人にもよりますが、6時間は確保したいですね。また、朝起きたら太陽の光を浴びて、夜はだいたい決まった時間に寝るという生活リズムも、免疫を正常に働かせることにつながります。

赤江 日光を浴びるのはいいことなんですね。

宮坂 もちろん。体には一日周期でリズムを刻む体内時計があり、自律神経を調整し、血圧、体温、消化・吸収など体の働きを支配しています。免疫反応もそう。活動する昼間は病原体が侵入しやすいので免疫反応が強くなる。こうした体の働きを正常に保つには、体内時計を乱さないことが大切。朝日を浴びると体内時計がリセットされて正しいリズムで動くようになります。早朝の散歩やラジオ体操は、とてもいい習慣と言えます。

赤江 私の一番の問題は運動不足です。そのせいか、冷え性ですし、肩こりにも悩まされています。

宮坂 僕は、毎日30分の剣道の稽古を欠かしません。竹刀を振るから、肩こりはまったくないです。

赤江 うらやましい。私も学生時代はかなり運動していて体力もあったのですが、その貯金は30代で使い果たした気がします。

宮坂 年齢とともに運動の必要性は上がってきますね。最近の研究でわかったことですが、免疫のアクセルとブレーキを調整する種々の物質は、運動で筋肉や骨が刺激されることで分泌されるのです。加齢とともに衰える免疫機能を維持するうえで、運動はとても有効。ある程度の年齢になったら、自分への投資と思って体を動かす時間を確保しましょう。

赤江 私も本気で投資しなくてはいけませんね。

宮坂 ただし過度の運動はストレスになるので逆効果。益軒も言っています。「適度にからだを動かすのが良い」と。マッサージやストレッチをして血液循環をよくすることが大事だ、とも。益軒は、寝たきりになることもなく、83歳まで長生きしました。何歳でも、自分の努力次第で免疫力を強くすることはできるのです。

赤江 300年前の健康法が最新の免疫学に通じるなんて面白いですね! 今日は本当に勉強になりました。