イラスト:大高郁子
身体を鍛えて、気分転換にもなって。メリットいっぱいのはずが、他人との近すぎる距離が自分の身を危うくする――(「読者体験手記」より)

人気が出始めるとレッスン料が上がって

私が5年間通っていたのは、個人経営のスタジオです。一人の先生がヨガやピラティス、エアロビクスなど、有酸素運動からストレッチまで教えていました。

初めて先生にお会いしたのは、とある屋外のイベント。5月の風に吹かれながら、青い芝生の上でヨガをしたのがきっかけでした。アラフォーの気さくな感じの女性の先生で、ヨガの後、お話をすると、なんでも近くのご自宅に個人スタジオを開いたばかりとのこと。更衣室やお風呂、ジムスペースなど豪華な設備がない分、月謝も月4回で6000円とリーズナブルです。車で気軽に行ける場所にあり、早速、通うことに。

オープンして間もない当初はクラスの人数も一桁台と少なく、ゆったりとレッスンできてラッキーでした。先生の指導は手厚く、行き届いており、楽しく通っていたのです。

次第に評判になり、夜のレッスンの参加者が10人を超えると、先生も欲が出てきたのでしょう。月謝が急に値上がりしました。その後も何度か改定され、あっという間に大手のジムと変わらない料金に。予約制度が導入されると、すぐ定員に達してしまうほど、たしかに人気もありました。スポーツクラブのような設備が整っていないのにこの料金なのは、指導がそこらのジムとは一線を画しているからだと、先生は胸を張っておっしゃいます。スタジオ通いが初めての私はそんなものかと思い込んでいました。

この頃はまだ、先生がお勧めするアロマオイルや健康食品を頻繁に購入したり、レッスン後に先生や生徒たちとランチに行ったりするのを楽しみにしていました。洗脳されている状態だったのかもしれません。