旬の野菜に含まれるたっぷりの栄養を

1日3食、かならず食卓に手作りの漬け物が並ぶわが家。現在は子どもが独立して80歳の夫と二人暮らしですが、それでも毎年12月の初めには信頼している農家さんから露地ものの野沢菜、白菜、大根、かぶを軽トラック2台ぶん買い込んで、春まで食べる漬け物を仕込みます。やはり旬の野菜がいちばん。みずみずしい美味しさと、たっぷりの栄養を味わうことができますからね。

そうして作る漬け物は、先ほどもお話ししましたが、乳酸菌が生きているため発酵しつづけます。日が経つほどに味が変化していきますから、浅漬けの時はシンプルにそのまま食べ、深く漬かってきたら調味料代わりに使ってもまた美味しい。毎食食べても飽きることはありません。たとえばさきほどの「白菜の簡単ぬか漬け」を使って、4ページにご紹介するようなサラダへのアレンジ料理も趣向が変わって楽しいですよ。

ただし家で漬け物を漬ける時に気をつけてほしいのが、調味料や調理道具、保管場所のこと。塩、醬油、味噌などの調味料は、昔ながらの製法で作られた、余計なものが入っていない、できるだけ上質なものを選んでください。それが美味しくなる秘訣です。また容器は酸や塩分に強いホウロウ、陶器、ガラスなど変質しにくい素材がおすすめ。

手に常在する乳酸菌を移すため、かきまぜる時は道具や手袋を使わずに、ぜひ素手で行いましょう。そして保管場所は、真夏でないかぎり、家の涼しいところに常温で。4、5日経って発酵が進んできたら、小さい器に移して冷蔵庫に入れれば発酵をゆるやかにすることができますよ。

最後に一言。漬け物は塩分が強いと心配する向きもありますが、干物やラーメンなど普段食べているものの塩分を換算しないで、漬け物だけを悪者にしてはいけません(笑)。漬け物の塩は、野菜の水分を引き出すもの。通常は野菜に対して3%が基準とされていますが、私のレシピでは最低限の2%です。それ以下ではうまく発酵が進まず、味がぼやけて美味しくできませんから、野菜と調味料の割合をレシピ通りにきちんと量りましょう。

ほかにも、すぐに作れる簡単な漬け物と、ひと手間加えた料理のアレンジレシピも2つご紹介しますので、ぜひ試してみてください。

これをきっかけに、どなたでも簡単に手作りの漬け物を楽しんでもらえたらと願っています。