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史上初めての非白人系の副大統領

佐藤  カマラ・ハリス副大統領は、現時点では、アメリカ初の女性大統領に最も近い地点に立っていると言っていいですね。でも、その前途には、多くの試練が待ち構えていると思います。彼女は、史上初めての非白人系の副大統領です。小さな時に両親が離婚していますが、父親はジャマイカからの移民で、スタンフォード大学の経済学者。母親はインドから来た、タミル系の医学研究者です。

手嶋  いま佐藤さんは正確に「非白人系の」と表現しましたね。ハリス副大統領自身は、自らをアメリカン、つまりアメリカ系市民と名乗っています。「はじめての女性黒人副大統領」と呼んでいるメディアもありますが正確ではありません。ここはアメリカという国の本質にかかわる大切なところです。

佐藤  アメリカ合衆国は、「白人の移民」と「奴隷としてやってきた黒人」からなる国だと説明されます。黒人が白人の警察官によって死亡させられ、全米を揺るがした事件も、まさしく、こうしたアメリカという国の成り立ちに源を発しています。

手嶋  バラク・オバマ大統領は、肌の色は黒いのですが、奴隷としてアメリカ大陸に売られてきた黒人にルーツはもっていません。父親はケニアから留学生としてやってきたいわばエリートでした。ですから、移民の系譜に連なっています。オバマ大統領は、ハーバード大学のロースクールを卒業した後、シカゴの黒人の最貧地帯に社会運動家として赴き、後天的に「黒人になった」と自ら言っているのは、そうしたファミリー・ヒストリーのゆえです。