101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。

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『紅茶こしひとつで贅沢な時間に』

一日の始まりは紅茶とトーストから。これは、外交官の妻としてイギリスで生活したことのあった姑の習慣で、一緒に暮らしているうちに私もすっかり紅茶党になりました。

ティーバッグでは味気ないので、必ずリーフティーというこだわりを捨てられない私にとって、紅茶こしは生活の友。もうだいぶ前のことですが、ベルギーのブリュッセルの蚤(のみ)の市で見つけたアンティークの紅茶こしを、今も大事に使っています。銀特有の黒ずんだ色ですが、なんとも趣きがあり、ひとめぼれしてしまったのです。

おいしい紅茶を淹れて、ゆっくりと朝食を楽しむのは、なんとも贅沢な時間。そんなとき、実用一点張りの紅茶こしではなく、本当に気に入ったものを使いたいのです。実用的だからと、ティーバッグ派が増えているようですが、紅茶こしの出番をぜひ作っておきたいものです。
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