鍛えたいのは《ゲラゲラ筋》

笑いヨガのポイントは、横隔膜を動かし《笑う動作》をするところにあると高田さんは言う。

「人間の脳は、作り笑いと本物の笑いを区別できません。作り笑いでも『いい体験をした』と錯覚し、ストレスを感じると出るホルモンのコルチゾールを減少させます。ストレスホルモンが減ると、自律神経が整い、免疫力がアップして風邪をひきにくくなると言われていますし、血糖値や血圧の上昇が抑えられ、糖尿病のリスクが下がるという報告もあります。最近では認知症の予防・改善効果も認められているんですよ」

高田さん流の笑いヨガでは笑いを《呼吸》としてとらえるので、大きな声を出す必要はない。隣の部屋に家族がいても、深夜でも、やりたい時にできるのは大きなメリットだ。

「『笑トレ』は、笑うための筋肉を鍛えるエクササイズ。人は笑う時、表情筋や声帯、大胸筋、腹筋、横隔膜を一度に動かします。私はそれらを《ゲラゲラ筋》と呼んでいますが、ゲラゲラ筋を動かすと血液循環が良くなり、全身がポカポカしてくるんです。ぜひ口角を上げながらやってみてください」

高田さんの指導を受け、筆者も基本のトレーニングである「ホホハハ体操」を実践してみたが、なるほど少しやっただけで背中が軽く汗ばんできた。大笑いした時と同じように、横隔膜が上下に動くのがよくわかる。何より、笑うふりを続けるうちに、本当におかしく感じられてくるのが面白い。

「ゲラゲラ筋は笑いだけでなく呼吸にも使われる筋肉なので、鍛えることで呼吸が深くなりますよ」

聞けば聞くほどいいことずくめ。これなら運動嫌いの筆者にも続けられそうだ。後半で基本的な動作を紹介するので、ぜひ皆さんも試してみてほしい。